遊歩和尚のつぶやき「無知は人を殺す ありのままに見つめる」
夜にお寺で談笑。お医者様と、日本に帰化された中国生まれの方と、我がかみさんと私。魯迅の話になり、魯迅が東北大学医学部の前身になる学校を中退していたことを教えられました。魯迅については受験程度の知識しかなかったので、少し恥ずかしかったのですが、知らないことは新たなことを学べることと思い、いろいろと教えてもらいました。
医者は病に悩む目前の一人を救うことはできるが、政治的に苦しんでいる多くの人々を救うことができない、魯迅はそんな思いで小説家になったと言われているそうです。なぜ小説家なのか、それは人民が無知であるために暴政に立ち向かうことができないというものだったとか。
その中国出身の友人が一言、「― 無知は人を殺す ― 魯迅はそんな思いで小説を書いていたのではなかったのか?」と。思わず頷き、手をうちました。そのお医者様も常に無知の害について私達に伝えておられ、だからこそお寺での勉強会を提案されたほど。今夜は無知に対する問題をいろいろと話し合っていきました。
日本は比較的、無知の方は少ないのですが、それでもまだまだ無知が招いている弊害は少なくありません。他人の言を単純に信じて自分で調べ、自分で考えることは、一般にあまり行われていないのも事実です。ちょっと待てよと、事実をありのままに見ると、私達がいかに思い込みが激しいのかが見えてきます。
般若波羅蜜多も極端に言葉を単純化すると「ありのままに観つめること」。まさに言葉による思い込みの枠を外すことがその大切な役目。無知に対する反対語は、知識の獲得ではなく、思い込みを離れてありのままに観つめること。これこそが現代の諸問題を解決するヒントになるようにも思えます。
魯迅の『阿Q正伝』など五冊程度を先ほどKindleにダウンロードしました。読んでみて、魯迅の想いに触れてみようと思います。
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