遊歩和尚のつぶやき「組織の目的って何?300年ほど前に徳川宗春公が藩士たちに警告していたこと」
遊歩和尚のつぶやき「組織の目的って何?300年ほど前に徳川宗春公が藩士たちに警告していたこと」
今日の午前中はある組織への加入のお誘いを受けました。午後には既に属している組織からの通達事項がありました。一日を振り返り、ふと感じたことがああります。
主婦というオリジナルカテゴリーを持つ女性はそうでもないのですが、男性の多くは組織に属することを望むことが多いようです。
政治でも国や党や派閥に属し、宗教でも宗団に属し、会社や公共団体という組織、組合という組織、町内会という組織。とにかく色々と考え組織を作っています。
それは独りではできないことを組織的にすることに便利ならしめるためであり、より効率的に、互いに助けあうためのものであるはずです。ですから組織は、時には大いなる力を発揮します。
しかし、この組織も硬直化するとどうなるかというと、個人を縛り上げ、本来の目的とは全く関係のない組織の維持という別の論理が飛び出してきます。そうなると本来の組織を作った目的は後退し、逆に個人を苦しめたり、他を支配するために便利なものへと変貌していってしまいます。権力闘争が生まれ、組織としての最初の目的は失われてしまいます。
しかしその組織を本来の姿に戻そうには、力も知恵も、相当なものが必要です。独りや少人数では到底できることではありません。改革をするためにと、最初のうちは良き思いで進んでいくのですが、権力を得るたびにその思いは現実に押しつぶされていき、いつのまにか自分は自分が批判してきた人々よりもより一層硬直化した考えになってしまうもの。
それを尾張七代藩主徳川宗春公は『温知政要』というマニフェストで
「世間の様子をよくよく考えてみると、どんなことでも用いられるべき人がまだ志を得ずに役職にも就かない初めの頃は”私が事を執り行なう役職に就いたのならば、上のためにも下のためにも全てのことで滞る事なくうまく仕 事をしてみせるのに”と、心に思い口にも言って、もどかしいように言うのだが、その職に就くやいなや今までの心とは大きく異なり始め、自分が笑い謗ってきた人たちと少しも変わらなくなってしまい、かえって今までの同輩の人たちを引きずり落とすようなことばかり考えるようになることが必ずと言って良いほど起こってくる。皆が皆、私欲の卑しい心から考え方が変わってしまうからである。それと同じように既に上に立っている者も、最初は物珍しいこともあって世間から”賢い方”と言われたいので随分と慎み深く行ってはいるが、後には徐々に退屈な心が持ち上がって政務も都合次第で動くようになり、理由もなくだらしなくなる。秦の始皇帝は 天下を統一できたくらい人に畏敬されるような人であったが、おごりたかぶり勝手な振る舞いをするようになり、最後にはとても愚かにも長生不死の薬を求めるようになり、ほんの僅かな年数で滅んでしまった。その他にも漢の武帝や唐の玄宗なども始めのふるまいと後のふるまいとでは大きく違うようになってしまった。だからこそ最初の考えや工夫も志が半ばにもならないうちに必ずくじけるように見える。慎み畏れ心せねばならないことだ。だからこそ古き偉人は”始めは必ずあるが、よく終わることは少ない”と戒められたのだ。」(現代語意訳)
と述べています。
尾張藩62万石、実質上は100万国を超える組織に属しているからこそ感じるものなのでしょう。また600万石の幕府の組織の硬直化を間近に見ていたからでもありましょう。
自分自身が、批判される立場にならぬよう、今後も自戒していきたいと強く感じさせられました。
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