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2012年12月17日 (月)

漢文学の大家で保守派の論客加地伸行先生の講義略述

12月13日、大阪で漢文学の大家で保守派の論客加地伸行先生の講義を受けた。全部を記すことはできませんので、ほんの僅かですが記します。ほ

んとうに面白い講義でした。もっと聞きたかったです・・・。

「一般的日本人が求めているのは宗教としての仏教であり、学問と

しての仏教学ではない。またインド仏教や中国仏教を求めているわ

けではないので日本仏教に絞るべき。」と仏教と民衆とのすきま風

を埋める必要があると。

江戸時代まで、日本人の返答は、武士が「ははぁ」、商人が「へい

」、女性が「あい」であった。高杉晋作の騎兵隊では身分差を越え

る返答が必要で、中国語広東語の「係(はえ)」を「ハイ」と直し

て用いた。それが陸軍で使われ日本中に広まった。

明治維新で欧米力の工業力の力強さは、思想も高いと勘違いし、指

導者たちが欧米思想に偏重。ここに欧米思想が上であり、個人主義

が上という誤った見解を採用してしまった。

明治の学制で、寺子屋や塾では

なく、藩校をモデルにした。藩校には馬場があり、そのために学校にグランドが必須になってしまった。日本の影響下のある国以外で、広大なグランドが必須の国はない。

明治維新で東京大学は近代学のセンターとなり、欧米留学者が担当

。一方、漢学と皇学(国学)が大げんかをしており、欧米哲学が跋

扈。キリスト教という枠内での宗教学が支配的となる。

明治維新により、宗教にランキングをつけるようになった。四は自

然崇拝、三はシャーマニズム、二は多神教、一は一神教。一神教を

宗教の最高とする誤解に基づく宗教界が蔓延し、仏教では特に浄土

真宗がその波にさらわれた。

現代の宗教の定義は、教祖・教義書・集まる場所。しかしいずれも

普遍的なものがない。医学や倫理学など他が担うものを削ると、宗

教とは死についてとことん見つめるものであることが残される。宗

教は死の説明者たるべし。

狩猟民族は能力主義であり個人主義。一方農耕民族は平等主義であ

り集団主義、家族主義。明治維新で個人主義が近代的だと勘違いさ

れ、日本古来の考え方が隅に追いやられてしまった。

欧米の個人主義には、勝手なことをさせないという神があり、それ

が利己主義への抑止力となっている。ところが日本にはその神の抑

止力がなく、現代のような利己主義が蔓延した。

日本には、本来はご先祖さまという抑止力があった。祖霊が私たち

の我儘を許さなかった。

日本で火葬の後に骨を大切にするのは、純粋な火葬ではないから。

日本の火葬は土葬の変化形。純粋な火葬は燃やした後に川に流して

しまうなどする。散骨する場合でも場所にこだわるのは、土葬と変

わりない。


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