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2012年3月 7日 (水)

自らまいた種は自ら刈り取らねばならぬ 正義も悪も相対的なもの「千年先を見つめて(尾張七代藩主徳川宗春物語)」より

自らまいた種は自ら刈り取らねばならぬ 正義も悪も相対的なもの
「千年先を見つめて(尾張七代藩主徳川宗春物語)」より

通春(宗春)が、失脚した間部詮房を訪ねる設定です。
間部詮房は、四代藩主吉通や通春を退け、六代藩主継友を持ち上げ
結果的には吉宗に政争で負け、御側用人を解任されてしまい
そこへ、吉宗によって持ち上げられた通春が訪ねていくという設定です。


間部詮房:  「策を弄しましたのは事実でございます。江島生島の二人に関しては、仕掛けたのは拙者でございますが、いつのまにやら拙者が予想をしていた以上に事が大きくなってしまい、思わぬことになり申した。月光院様の力を削ぐつもりが、大奥を敵に回してしまい、このざまでございまする。継友様を輿に担ごうとしたのは、確かに我が身と我が周りを護ろうとしたからに他なりませぬ。今となっては、上様(家宣)の御遺言通り、圓覺院様に譲って居れば、圓覺院様も、五郎太様も七代様も、もっと長生きされたかもしれませぬ。」
と下を向き語る。通春は穏やかな顔で

松平通春:  「私は目付ではございませぬゆえ、誰かの罪状を暴きに来たのではござらん。明日、お城で越前殿と松平右京大夫(輝貞)殿と御領地を入れ替えるという御沙汰が下り申す。それを伝えに参りました。」

間部詮房:  「なんと。報復か?」

松平通春:  「考え方ひとつでございます。右京太夫殿にとっては元々居た領地に。越前殿にとっては新たな領地に。今後これで右京太夫殿が越前殿を恨むことはございますまい。」

間部詮房:  「自らまいた種は自ら刈り取らねばならぬということですな。どちらにしても、拙者は一能役者の子。大名のままで居られるだけでも、六代様(家宣)のおかげだと思えば、問題はありませぬ。右京大夫殿の心が休まるのであれば、これも一つということでしょなぁ。」

松平通春:  「人は自ら置かれた立場を正義と申します。そしてそれに相対する者を悪とする。それらを別の眼で見ると、正義も悪もないことが往々にしてございます。ただし、地位や御領地、名誉は時には戻りますが、亡くなった命は二度と戻らぬということだけ分かってくだされ。できれば左遷された者、亡くなった者たちのために祈ってくだされば…。」

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