権謀術策に対する態度 「千年先を見つめて(尾張七代藩主徳川宗春物語)」より
萬五郎通春(宗春)が江戸に出てから、
五代将軍綱吉の御側用人兼大老格であった
柳沢吉保の下屋敷六義園を訪れる設定にしました。
吉保の愛妾正親町町子の姪が、
尾張藩御連枝川田久保松平友著の正妻であったからです。
そこで吉保と萬五郎のやり取りを設定しました。
柳澤吉保:
「なにやら大きな蠢きがあるようでございますな。
江戸には権謀術策を用いるものが多うございまする。
そのような者共に私も讒言を何度もされてまいりました。
吉里が上様(綱吉)の子であるとまで言われた折には
言葉も出ませなんだ。
ただそこから学んだことがございまする。
分からぬことは無理に詮索しなくても良いと存じまする。
大きな目で見つめていれば、そのうちに流れが見えてきて、
小さき出来事もハッキリといたしましょうほどに。」
萬五郎通春:
「新陰流と同じでございますな」
柳澤吉保:
「新陰流とですか?」
萬五郎通春:
「新陰流では、木を見ず森を見ず、共に注意して観ぜよという教えがございますれば。」
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