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2012年2月28日 (火)

四苦八苦を抱え、根を張る時期。人の三不幸とは?「千年先を見つめて(尾張七代藩主徳川宗春物語)」より

四苦八苦を抱え、根を張る時期。人の三不幸とは?
「千年先を見つめて(尾張七代藩主徳川宗春物語)」より

江島生島事件があり、それに対処出来なかった自分を攻める通春(宗春)。
それを公辯法親王に相談に行ったという設定です。

公辯:
 「江島殿のこと残念でなりませぬ。赦免を乞うたのじゃが体良く扱われました。」

求馬通春:
 「門跡様、今回の場合、私はどうすればよかったのでしょうか?」

公辯:
 「四苦八苦をごぞんじかな?」

求馬通春:
 「生、生きる苦しみ。老、老いる苦しみ。病、病の苦しみ。死、死の苦しみ。
  愛別離苦、親しき者と別離する苦しみ。
  怨憎会苦、怨み憎む者と出会う苦しみ。
  求不得苦、求めても得られない苦しみ。
  五蘊盛苦、苦しみが次々と湧いてくる苦しみ。以上でございます。」

公辯:
 「うむ。よく学ばれておる。生きている限り苦しみは伴うもの。此度はいかがでございましたか?」

求馬通春:
 「後ろの四苦が痛いほど身に沁みました。まるで底なしの沼に陥ったような。」

法親王は通春を見つめる。通春は法親王の顔を見つめ、カッと目を開ける。

求馬通春:
 「泥の中の蓮でございますね。」

公辯:
 「よう覚えておいでだ。」

求馬通春:
 「されど此度の私は泥の中に埋まってしまい、花を咲かせられませんでした。
  むしろ美しき花をみすみす枯らしてしまったような。」

公辯:
 「そなたの生き様はこれからではありませぬか。
  そなたが此度のことをよくよく覚えておいて、
  上に立つ者となったときに、此度のことを活かせば、
  此度の出来事は無駄にはなりますまい。
  そなたはまだ花を咲かせる段階ではなく、
  根を張る時なのではあるまいかのう。」

求馬通春:
 「根を張る時期。」

通春は、その言葉を繰り返し、しばらく沈思する。そして

求馬通春:
 「確かに十九の私は根を張る時期で御座います。」

公辯:
  「人に三不幸ありをご存知ですか?」

求馬通春:
 「『小学』ですね。」

公辯法王様はうなずき

公辯:
 「第一の不幸は?」

求馬通春:
 「第一は少年にして高科に登る。
  第二は父兄の勢いに席りて美官となる。
  第三は高才有って文章を能くす」

法親王は、笑顔になり、

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