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2011年4月 7日 (木)

オゾン層破壊問題と原子力問題が私達に伝えている物

2010年の南極のオゾンホールは
ここ数年の中で最小であったといいます。

http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/ozonehp/diag_o3hole.html

宇宙からは様々な宇宙船が飛来しており
それを防御するものがなければ
この地球上に生物は誕生しなかっただろうと言われています。
その防御服の役目をしているのがオゾン層。
オゾン層は一気圧に圧縮すると
100km内にビーズ三つ分の厚さしかないと言われています。
とても薄い薄い膜なのですが
その薄い膜が、宇宙線から私達を守ってくれています。

ところが人間がフロンという自然界に存在しない
無色無臭無毒で冷媒としても溶剤としても便利なものを生み出しました。
開発当初は潜水艦の冷媒で使われ
次第に用途が広がり大量に使用され生産されました。
ところがこの地上では夢の化学物質と言われたものが
オゾン層を破壊していることがわかったのです。

メカニズムを単純に説明しますと
極の当たりが冬に冷えれば冷えるほど
そこにフロンなどのオゾン層破壊物質が不活性となり滞留します。
それが春になり、温度が上がると活性化され
一気にオゾン層を破壊していってしまいます。
そのために、オゾン層がオゾン層破壊物質で破壊され、
宇宙線を通してしまう穴、つまりオゾンホールが出現しやすくなります。
この穴は、ずっと空いているわけではなく
瞬間的にできたりできなかったりするものです。
南極域で、ずっと穴が開いているわけではありません。

2010年の南極の最大オゾンホールは
ここ数年間で最小の
2190万平方kmであったとのこと。
過去最大は平成10年9月9日及び21日の
2724万平方kmだったそうですから
それに比べれば20%減です。
それでもこの2190万平方kmを国の面積に当てはめますと
カナダ 約998万平方メートル
アメリカ合衆国 約963万平方メートル
メキシコ 約196万平方メートル
この三カ国の合計が約2157万平方メートルですから
それを上回るほど巨大なものでした。

この小さくなったい理由は
南極域の温度が高温であったために
冬場の不活性であった不フロン類などのオゾン層破壊物質の滞留が
少なかったからだと言われています。

その影響があったかどうかはわかりませんが
昨年末の北半球は、温暖化傾向の為に冬の訪れが遅く
暖かい空気が勢力を保ち続けたために
冷たい空気の南下が遅れました。
南の暖かい空気に押され北極域に冷気がこもってしまったようです。
そのために、冬の北極域にオゾン層破壊物質が滞留してしまい
春の暖かさで一気にオゾン層破壊物質が活性化し
北極域のオゾン層が急激に破壊されてしまったようです。
そして、ニュースでも報道があったように
http://www.cnn.co.jp/world/30002362.html
40%ものオゾン層破壊が進行してしまったようです。

今回の東日本大震災も追い打ちをかけることになる気がします。
フロン類は徐々に上昇していきます。
今回の大震災の破壊で大気に漏れ出したオゾン層破壊物質は
将来確実にオゾン層破壊を大きくすると考えられます。

このところ、温暖化ばかりが注目され
あの、アル・ゴア元アメリカ合衆国副大統領さえも
オゾン層は大丈夫のような話をされていましたが
これには誤りがありました。

私達を守っているオゾン層は今も破壊され続けているのです。

さて、以下は私の個人的な見解です。
オゾンとは殺菌に使われるほどのもので、実は人間にとって猛毒です。
さらに光化学スモッグのもとにさえなります。
ヨーロッパではオゾン濃度を公表して
光化学スモッグ注意報を出している地域もあります。
しかし、上空に登ればこの猛毒の物質は
宇宙線から私達を守ってくれる正義の味方となります。

一方、フロンは、今でこそオゾン層破壊をしてしまう敵役ですが
冷媒としての便利さや溶剤としてもとても
科学技術発展と近代社会設立に大いに役立ってきました。
私のように喘息を持っているものは
このフロンを使った治療薬で命を何度も助けられたと思います。
フロンは、上空では悪役ですが
地上では本来は正義の味方でした。

所変われば…ということばがありますが
フロンもこの地球の自然治癒力内で使用しておれば
おそらく正義の味方で在り続けたでしょう。
しかし、人間の欲望が、この自然界に存在しない物質を
大量生産大量消費したことにより
自然の秩序が乱れ、オゾン層破壊という生物そのものの存在を危うくしました。

ほんとうはここで私達は気づかねばなりませんでした。
フロンなどのオゾン層破壊物質が悪いのではなく
それを大量生産大量消費して便利快適ばかりを追い続けた
私達人類の最果てのない欲望こそが最大の問題だったように思います。
しかし人類は、自分の際はてのない欲望に目を向けずに
フロンそのものを悪役にし、フロン生産を全面禁止し
それで事足るとしてしまいました。
これは大きな誤りだったように思います。
フロンの生産をすべて打ち切ることも重要でしたが
それ以上に私達人類が自己反省しなければならなかったのです。
ところがそうはいきませんでした。
その結果が、今のオゾン層破壊に繋がっているように思えます。

実はこの問題はオゾン層破壊ばかりではなく
原子力の問題ともつながっています。
フロンと原子力は直接繋がってはいませんが
原子力に対する私たちの態度が
あまりにもフロンに対する態度と似通っている気がします。
今回の福島第一原発の事故から原子力否定の運動が起きるでしょうが
原子力そのものを悪としてしまうことには疑問を感じています。

原子力は原子爆弾と共に生まれ、
フロント同じように戦争の道具として登場しました。
その破壊力はエネルギーとなり
夢のエネルギーとしてもてはやされました。
今でも、世界中で温暖化対策の切り札として増設が計画されています。
しかし、原子力発電所から出される廃棄物は未だに処理ができません。
そのために放射性廃棄物は年々増加し
年々増えていています。

フロンも原子力(核分裂)も
どちらも自然界に存在しないもの。
そしてそれを人間が生み出し
大量生産大量消費をし
自然の自己治癒力をこえて
自然界の秩序を壊してしまいました。
自己治癒力を越え秩序を壊し
最後は何もかも破壊し尽くして
作りだした人間さえも
この地球から消し去り
ようやく自分自身が消えることになります。

自然科学だけの力でなんとかなるというレヴェルは既に超えている
そのことを気づかねばならないのではないでしょうか?

フロンも原子力も今は悪役です。

でも本当にフロンや原子力が悪役なのでしょうか?

おそらく両者とも自然の自己治癒力の範囲内で使用されるものならば
人間にとっても、とても役立った可能性があります。
問題なのは、それを自分の欲望のために
過剰に使用してしまった人間にこそ問題があるように思えます。

フロンも原子力も
すぐに停止しなければならないほど、
この地球上では問題になってしまいました。
この二つの悪役を単なる悪役にするのではなく
この二つを悪役にしてしまった私達自身が
反省しなければならない時。

東日本大震災は、人の生き方に警告を与えたように思えます。
そのためには、あまりにも多くの犠牲を出してしまいました。
私達は気づかねばならないのでしょう。
一人ひとりが、過剰な欲望を充足することよりも
人間らしい生き方に目覚める時が来ているように思います。

手間ひまをかけ、時間に追われることなく
芸術的に人間らしく生きる
これを追求していきたい、今はそう願います。

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