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2010年10月26日 (火)

尾張藩七代藩主徳川宗春公の真実(3-00)『温知政要』序文 原文と現代語意訳

序文

<原文>
古より国を治め民を安んするの道は
仁に止るる也とそ
我武門貴族の家に生るといへとも
衆子の末席に列り
且 生質疎懶にして
文学に暗く  
何のわきまえもなかりし中
幕府衹候の身となり
恩恵渥く蒙りしうへ
はからすも嫡家の
正統を受續き
藩屏の重職に備れり
熟思惟するに
天下への忠誠を尽し
先祖の厚恩を報せん事は

国を治め安くし
臣民を撫育し
子孫をして
不義なからしむるより外有まし故に
日夜慈悲愛憐の心を失わす
万事廉直にあらん為
思ふるを其侭に
和字に書付け
一巻の書となして
諸臣に附與す
是我本意を普く人にもしらしめ
永く遂行ふへき誓約の證本なるうへ
正に上下和熟一致にあらん事を
欲するか為に云
 享保十六辛亥三月中浣
 参議尾陽侯源宗春書

<現代語意訳>

昔から、国を治め民衆を安心させるには
仁にとどまらねばらないと言われている。
私は武家の貴い一族に生まれたが
多くの子供達の中でも最後の順。
しかも、生まれもっての怠け者。
学問もそれほどしたわけでもないし
何の分別もなかったけれども
幕府のお役目をいただく身となり
多くの恩恵をいただいた上に
予想もしなかった(尾張藩)本家の
正統を受け継ぐこととなり
藩を守るという重職に就かせて頂いた。
しっかりと考えれば
将軍家への忠誠を尽くし
御先祖方の多くの恩に報いるために

自らの国(尾張藩)を治め安心させ
臣下や民をかわいがり大事に育て
子孫たちが
道から逸れないようにする他はない。
昼も夜もいつでも
慈愛と深い優しさの心をなくさずに
全てのことに
心正しくあるようにするために、
思うことをそのまま
誰もが読みやすい書き下した文で書いて
一冊の本として
諸々の臣下に渡すことにした。
これは私の本当の思いを広く人に知らせ
末永く行なっていくという
誓約の証本であり
まさに身分の上の者も下の者も
仲良く一つであるように願って

語るものである。
享保十六(1731)辛亥年
三月中旬(新暦四月下旬)
 参議尾張藩主源宗春書

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