初読書 『勝ち続ける力』羽生善治+柳瀬尚紀
今年の初読書は
『勝ち続ける力』羽生善治+柳瀬尚紀 新潮社
将棋の羽生名人と翻訳家の柳瀬氏の対談。
二人の分野は全く異なる。
その異なる分野で最前線を駆け抜けている二人。
将棋と翻訳の世界。
将棋は対局者がいるし
翻訳は他者が読んで初めて成立するもの。
それにも関わらず、相手にしているのは
二人とも自分自身。
二人が対峙しているのは
身体におさまった自分ではなく
その身体さえもおさめた大きな自分なのかもしれない。
読み続けるうちに、
勝ち負けを語っているわけではないことがわかる。
勝ち続けるというタイトルよりも
本が売れる売れないを無視すれば
「真剣である力」
というほうが正しい気がする。
どんなに磨いても頂点ではない。
人間の身体も脳も、刻々と變化している。
その変化は向上もあれば退化もありうる。
そのトータルな變化の中で
その時の自分に最高のパフォーマンスを
し続けている二人の話は面白い。
尾張柳生の剣豪として名高い柳生連也斎、
彼は晩年は三日前の自分をイメージし
それと対峙したという。
羽生名人も柳瀬翻訳家も
二人ともが、その柳生連也斎と同じような思考で
お互いの道を極めている。
その二人のスパークは実に面白い。
自分自身、真剣に生きようとされている方に
その道の最前線を生きるとは何かを知るには最適な書。
お薦めの一冊。
年始早々、とても良い本に巡りあえた。
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