『ディアボロス(悪魔の弁護人)』
『The Devil's Advocate(邦題:ディアボロス)』(悪魔の弁護人)をCSおよびDVDで観た。親友のW師より教えてもらったドラマだ。キアヌ・リーブス扮する若手有望弁護士ケヴィンが、アル・パチーノ扮する企業家であり悪魔であるミルトンに雇われる。そして、話題が展開していき、最後にどんでん返しが二回起きる。内容は、映画を観て欲しい。この映画の中で刺激的な言葉が何度も出てくる。考えさせられる内容だ。虚栄心・・・自分だけが儲かりたいと思う気持ちも、また自分だけが正義であろうとする気持ちも、実はどちらも虚栄心に基づいていることが曝け出される。自分の愛する家族よりも、大切なもの、それが自分であるということも指摘される。神とは何か?悪とは何か?自由とは?束縛とは?解放とは?崇金主義とは?・・・20世紀の世界の醜悪な部分がどんどん表に出てくる。
アル・パチーノはすごい。彼以外にこの悪魔役ができただろうか?キアヌ・リーブスが「スピード2」を蹴ってでも、この映画に出たといういわくつきの映画だが、実に奥深い。人の深層心理を描き出したような気がする。
西洋の考え方では、悪と正義がはっきりしている。しかし、どんな人の中にも悪魔は居るし正義もある。誰が正義で誰が悪魔ではない。むしろアル・パチーノ扮する悪魔は、不完全な人間のすべてを受け入れたとてつもなく幅が広い存在だ。それを単に悪魔と呼んでしまってよいかどうか、考えさせられる。この映画を観た後に『聖書』特に「ヨブ記」を読むと、深く考えさせられる。正義とか悪といった、極端な二元論に疑問のある方には、この映画を観て欲しい。
原作はアンドリュー・ニーダマン、庭植奈穂子訳。ソニー・マガジンズから『悪魔の弁護人』というタイトルで出版されている。私は古本で手に入れた。映画と原作とではかなり展開が異なる。実際、場面設定も登場人物も随分と異なってくる。まったくの別物としたほうが良い気もするが、どちらも相当面白い。
この映画や本を推奨はするが、もちろん私は悪魔崇拝教徒ではない。
映画の最後に、ローリング・ストーンズの「Paint It Black」が流れていた。シンボリックな曲だと思う。
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