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2009/12/29

2009年最後の法話

昨日二十八日は、仕舞い不動護摩。
とても綺麗な炎が上がった。

法話は以下の通り。

***
平成二十一己丑年は
折れ曲がりやすい己を真っ直ぐにし
紐のように絡んだ物を解くことが課題でした。
今年一年を振り返っていかがでしたでしょうか?

来年は庚寅。
その意味は・・・
一月一日の0時か節分の時にお話しますので
その時にお聞きください(笑)
トいいましてもヒントは必要なので申し上げますと
庚とは、金の兄。
金と言ってもGoldではなく、
Metalつまり金属を意味します。
ですから来年の色は・・・(  )・・・です
(護摩にこられた方にはお話しました)
また、寅とはうごめくという意味があります。
これらをヒントに元旦まで考えてみてください。

さて、昨日は私自身の体調不良もあり
一日ゆっくり休ませていただきました。
そのせいか、夜中まで起きていました(笑)

私の尊敬するスイスの
法律学者で弁護士、政治家でもあったカール・ヒルティ
彼の著作に『眠られぬ夜のために』という本があります。
その中で、
「眠られぬ夜もまた神からの賜り物」という表現があります。
そこで昨夜はそう思って今年一年を振り返ってみました。
と言いましても何から手につけたら良いのか
ふらふらしていますと結局何も考えられなくなります。
そこで将棋の羽生名人の言葉を思い出し
「物事を大きな視点から見て、小さなことから実践する」
ということで、自分の心の変化という大きな視点から
小さなこと、映画を思い出してみることにしました。
今年は10本の映画を観ました。
カミさんが出かけている間に
結構独りで観に行ったものもあります。
スタートレックは個人的な趣味で三回も観ましたが
今年の秀逸は、先日観たばかりのアバターでした。
環境問題・命とは何か・共存・智慧とは、その他
人類共通のテーマを見せつけられた思いです。
私がこうして言葉で語るよりも
仏教的な見方を、もっと多く語ってくれていました。
結構、内容的にはショックでしたが
ネタバレになりますのでここでは内容は語りません(笑)
ぜひ御自分の目で、3Dがおすすめですが
映画を観てください。
十本の映画を観て
確かに私の心に變化がいくつも出てきました。
一つ一つ語ればきりがないほどです。

私は昨夜は映画をきっかけに見つめてみましたが
みなさんはいかがでしょうか?
ぜひ何かをきっかけにして今年を見つめ
そして来年にどんなことをクリアしていこうかを
ゆっくりと見つめてみてください。

高家寺では来年の五月に大きな行事を行います。
また今年も三十日には餅つき
元旦には初祈祷初法話
そして月例行事に続き節分もございます。
そのひとつひとつが
少しでも気付きの場であるように
努めていく所存でございます。

***

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2009/12/24

『不増不減経』に説かれる僧侶

『不増不減経』というお経があります。

このお経は、短いお経で、漢文しか存在しません。
チベット訳やサンスクリットのある
『宝性論』という論書にかなりの量が引用されており
インド撰述のお経であることは間違いありません。

主要な内容は、生きとし生けるものすべてが仏であり
この世俗世界と離れて
聖なる世界があるわけではないことを
説いている
内容的にも面白い経典です。

この中で、当時の僧侶批判がなされています。
 若我滅後5過五百歳。
 多有衆生愚無智慧。
 於佛法中雖除鬚髮。
 服三法衣現沙門像。
 然其内無沙門徳行。
 如是等輩實非沙門自謂沙門。
 非佛弟子謂佛弟子。而自説言。
 我是沙門眞佛弟子。
 如是等人起増減見。
 (大正十六巻 466b)
この部分の大意は
私(=仏陀)の入滅後、五百年を経つと
愚かで智慧の無い人たちが多く現れる。
仏道の規則に従って、髪の毛を剃り
法衣を着て僧侶の姿をしてはいるが
内面的には僧侶としての徳を積んでいない。
本当の意味での仏教者ではないにも関わらず
自らを僧侶と呼び
本当の意味での仏の弟子でもないのに
自らを仏の弟子だと言いふらす。
そして「自分こそが仏の弟子である」と主張する。
このような者たちが、
ないものをあると言ったり
あるものをないと言ったり
間違った見解を多くなしている。

千五百年以上も昔に記されたお経ですが
まるで今の仏教の僧侶たちのことを表しているように感じます。
私自身もドキッとさせられる内容です。
いつの時代もそんなに変わるものではないのかもしれません。
人がいないと嘆くのではなく
自分自身がどうなのか
そこが問題であると言われている気がします。

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