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2003/03/03

読書の勧め 意識の形而上学

ふと手元にあった、井筒俊彦さんの『意識の形而上学  大乗起信論の哲学』(中公文庫)に目が行きました。大乗起信論はまさに大乗仏教の心にかかわる問題を扱った代表作
井筒氏はイスラム研究の第一人者(惜しいことに既に故人)。その彼が大乗仏教のテキストを、現代的視座から見つめなおした本が、この『意識の形而上学』です。
いろいろな点で考えさせられる本ですが、まず第一に、古きテキストを現代の視点から見つめなおすという姿勢。これは非常に重要なもの。その昔、儒学でも陽明学と朱子学、訓古などがありましたが、それもその当時当時の視点で四書五経を見つめたものであり、その姿勢が人々を多く感化してきました。哲学なき時代といわれていますが、ないのではなく、置き忘れている様に思えるのです。今、社殿の奥や研究室や本屋の棚に仏教経典を置いておくのではなく、まさに現代の視座から読み直す必要を感じています。
次にこの本は二つの視点の大切さを教えてくれます。全体と部分。一と多。一方に偏るのではなく、二つの相矛盾した概念を大きく包み込むことによってダイナミズムを生み出すという、楕円の思想とも言うべきものの見方を教えてくれています。これも現代文明にとって大切な視点。
そのほかにもいろいろありますが、ぜひこの書物、一読してみてください。日本仏教のそこに流れる思想に、現代の視座で触れることができますから。(2003/03/03)

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